しきゅうのお話

HPV:ヒトパピローマウイルスについて

子宮頸がんのほとんどは、子宮の入り口にウイルス(ヒトパピローマウイルス:HPV)が感染し続けることによって起こります。HPV,と一言で言っても、このウイルスには様々な種類の仲間がおり、そのうち子宮頸がんの発症にかかわるいくつかの仲間が分かってきています。子宮頸がんにかかわるHPVは、ひろく蔓延しており、性交経験のある女性の多くが一度はこのウイルスに曝されていると言っても過言ではありません。もちろんウイルスに感染したからといって、すぐに子宮頚がんになるわけではありません。長期に感染が持続した場合のみ、発がんにかかわると言われています。

子宮頚部内におけるHPVのライフサイクル

HPVのワクチン

広く蔓延するウイルスですから、もらわないようにすることは難しいのです。そこで登場したのが、HPVに対するワクチンです(子宮頸がんワクチン)。ワクチンを3回打つことで、HPVに対する抗体を自分の体に作り、例えウイルスをもらったとしても自分の体に住み着かないようにする効果があります。現在日本で使用できる子宮頸がんワクチンは、子宮頸がんの原因になる頻度が最も高い、16型、18型に対する効果があります。

HPV16/18に対するHPV2価ワクチンの効果

ワクチンの副作用

子宮頸がんワクチンが日本で広く普及したのは2014年のことですが、その後副作用の報告が相次いだことで、積極的なワクチンの推奨がされなくなってしまいました。しかしその後の安全性の調査では、子宮頸がんのワクチンの副作用出現頻度はそのほかのワクチンと比較しても同等であり、明らかな因果関係は証明されていないのです。決して頻度の高くはない副作用のために、防げたはずの

子宮頸がんワクチンは、政府からの積極的な勧奨はされていませんが、自治体の補助は継続しています。佐賀市では小学6年生から高校1年生までであれば無料で接種ができます。ワクチンには2種類がありますが、いずれのワクチンも、3回の接種が必要です。お住いの市町村にてご確認ください。

また、対象年齢ではない方でも接種は可能です。医療機関によりますが、1回につき15,000円~20,000円程度を3回受けることになります。ご自分で必要性が理解できるご年齢になってからの接種でもよいかと思います。

HPVの検査

今現在HPVに感染しているかどうかは、子宮頸がん検診と同時に検査できるようになってきました。現在佐賀県では、県下にお住いの30歳から44歳の女性で、HPV検査を受けたことがない方を対象に、子宮頸がん検診と同時に施行するHPV検査を無料で行っています(子宮頸がん検診受診料はかかります)。HPV検査は、自費で受ける場合は5000円以上しますので、この機会に一度指定の医療機関でHPV検査もご検討ください。無料でHPV検査を受けられるのは令和4年度までの予定です。なお、佐賀市にお住いの方であれば、30歳以上の方は細胞診検査に追加1000円のオプションでHPV検査を受けることができます。
自治体の補助を利用する子宮がん検診は、佐賀大学ではうけることができません。佐賀市または佐賀県のホームページで指定の医療機関をご確認ください。

子宮頸がん年齢階級罹患率の状況(3年平均)

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