しきゅうのお話

はじめに

佐賀県は子宮がんの75歳未満年齢調節別死亡率が全国ワースト2位という、悲しい記録を保持しています(2013年~2017年の平均)。子宮がん、特に子宮頸がんは予防ができるのに、子宮頸がんで命を落とす人が絶えないというもったいない実情を皆様にご理解いただき、これからも子宮頸癌の予防、検診の普及に努めていくことが当科の課題です。

子宮がん75歳未満年齢調整死亡率(過去5年平均)

子宮頸がんの問題点

子宮頸がんの罹患年齢は低年齢化してきており、罹患者の若年化がすすんでいます。子宮頸癌にかかりやすい年齢は、女性にとって、妊娠出産のピークの年齢でもあり、この時期の子宮頸がんの治療は女性のライフスタイルに大きな影響を与えてしまうものになるのです。

子宮頸がん年齢別罹患率の推移

検診は大切

子宮頸がんの初期症状には、出血やおりものといったものも挙げられますが、ある程度進行するまで症状が出ないケースも多く、初期、とくに前癌状態といわれる異形成の状態で発見するには、検診が欠かせません。

子宮がん検診では、子宮の入り口をブラシでこすって細胞を取ります。数秒で終わりますし、診察器具も体に合ったものを使用すれば、ほとんど痛みは感じません。

子宮がん検診で要精密検査といわれる人のほとんどは異形成の状態です。これは前がん状態とも表現されますが、がんではありません。異形成と言われた人のうち、ごく一部の人が子宮頚がんに進行することがわかっています。異形成の精密検査では、まずその程度を診断し、異形成の中でも進行しているものは早めに治療をします。異形成のうちに見つかって治療を受ければ、子宮を残すこともでき、子宮頸がんに発展することはありません。

子宮頸がんになったら

子宮頸がんを発症した場合は、子宮の一部、または子宮を摘出する手術を要します。放射線治療も、手術と同等のがんの根治力がある治療です。放射線治療を受けた場合は、子宮を温存できますが、放射線が卵巣にもあたるため、閉経してしまいます。基本的に放射線治療後の妊娠は不可能です。

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